住宅の屋根材として、金属が採用されることも増えてきました。
トタン屋根は古くから使われていましたが、最近ではガルバリウム屋根も普及しています。
金属屋根は優れた屋根材ですが、長く住んでいると傷みが目に付くかもしれません。
どの程度の傷みになったら修理が必要なのでしょうか?また、どんな症状に気を付けたらよいのでしょうか?
知らず知らずのうちに劣化が進み、気づいた時には手遅れとなり多額の修理費がかかってしまうのは避けたいですよね。
早めに不具合を見つけて必要な修理を行えば、少ない費用で屋根を長持ちさせることができます。
ここでは金属屋根には他の素材と比較してどんな特徴があり、どんなメンテナンスが必要になるか紹介していきましょう。
目次
屋根の構造
屋根の基本構造は、ベースとなる野地板があり、その上に防水シートが敷かれて、表面に屋根材を乗せる形になっています。
そして、表面の屋根材には様々な種類があります。
金属屋根は、その数ある屋根材のうちの一種です。
表面の屋根材に不具合が発生し、その下にある防水シートや野地板まで劣化が及んでしまうと、建物にとって大きなダメージとなります。
それを避けるためには、表面の屋根材を必要に応じてメンテナンスしていかなくてはなりません。
重症になる前に、屋根材の補修で対応できれば、屋根を長持ちさせることができます。
屋根は常に、直射日光や風雨にさらされています。
台風や竜巻などの自然災害の影響はもちろんですが、紫外線などの影響で日々劣化していきます。
また、海の近くや工場の近くなど、環境によっては耐久年数が大幅に短くなることもあるので注意が必要です。
普段目にすることが少ない部分なので、意識的に状態の確認をするようにしましょう。
金属屋根の種類
金属屋根の素材には、トタン、ステンレス、ガルバリウム、銅板、チタンなどがあります。
その中でもここでは、以前主流だったトタンと、現在主流のガルバリウムについて詳しくみていきましょう。
トタン屋根
トタン屋根は、薄い鋼板に亜鉛をメッキしたトタン板と、芯木とよばれる木の棒を組み合わせて作られたものです。
住宅のほか、工場や倉庫でよくつかわれています。
大正時代から普及し始め、日本瓦より安価で施工しやすいことから広まりました。
特に戦後の高度経済成長期には、多くの住宅で採用されています。
ただ、サビに弱いという弱点があるため、最近ではトタンより錆びにくいガルバリウムが主流となっています。
ガルバリウム屋根
ガルバリウムとは、薄い鋼板にアルミニウムと亜鉛、珪素の合金をメッキしたものです。
1982年頃から生産されるようになり、現在の金属屋根の主流となっています。
トタンより錆びにくく、耐久年数は30年程度です。
ステンレスも錆びにくい素材ですが、ガルバリウムはステンレスより大幅に安価です。
ガルバリウムにも多様な種類がありますが、よく使われるのは以下の2タイプです。
横葺きガルバリウム鋼板屋根
最も一般的なガルバリウム鋼板屋根の種類です。
スレートと似たような形状をしています。
断熱材が一体型のものと、断熱材がついていないものがあります。
天然石チップをコーティングすることで、断熱性を持たせているものもあります。
勾配が緩やかな場合には施工できません。
縦葺きガルバリウム鋼板屋根
工場でよく見られるタイプのガルバリウム鋼板屋根です。
縦葺きには断熱材一体型のものがないため、断熱材は別途取り付ける必要があります。
緩やかな勾配でも急な勾配の屋根でも対応できます。
金属屋根のメリット
非常に軽量
金属屋根のメリットとして、軽量であることが挙げられます。
古くからある屋根材の日本瓦と比べると、わずか1/10程度です。
軽量と言われているスレート屋根と比較しても1/2~1/4程度の重量といわれています。
屋根の重さはダイレクトに建物に影響し、軽量な屋根は建物の負荷が少なくて済みます。
建物の重心が下に下がることから、地震にも強い住宅にすることができるでしょう。
軽量であることを活かして、重ね葺きをする際に使われることも多いです。
安価で高いデザイン性
金属屋根は、コストパフォーマンスが高いことも魅力です。
材料費が安く、施工がしやすいため施工のコストを抑えることができます。
また、加工が容易で、多様なデザインの商品が販売されています。
高いデザイン性を活かし、おしゃれな建物で採用されることもあります。
金属屋根というと、一昔前のトタン屋根を思い浮かべるかもしれません。
しかし、最近では一見しただけでは金属屋根とはわからないような、スタイリッシュなデザインの商品も数多くあり魅力的です。
積雪に強い
ガルバリウム鋼板には、積雪に強い特長もあります。
瓦屋根の場合には、雪解け水による雨漏りの発生が懸念されました。
一方、金属屋根ではそれを防げるため、雪国でも高い需要があります。
金属屋根のデメリット
風圧に弱い
軽量なため風圧に弱く、強風でめくれてしまう可能性があります。
金属のつなぎ目の部分が劣化と共に浮いてきて、風圧がかかるとめくれあがってしまう悪循環となってしまいます。
とは言え、適切にメンテナンスを実施していれば、破損する危険性は低いと言えます。
サビに弱い
強風で屋根に設置したアンテナが倒れたり、風で飛んできた物が当たったりして、キズやへこみができてしまう場合があります。
キズができて表面を守っている塗装がはげてしまうと、サビが発生してしまいます。
結露のために裏側から錆びてしまうこともあります。
金属はサビにとても弱く、放っておくと穴が開いてしまうので注意してください。
トタンに比べると、ガルバリウムの方が錆びにくいためおススメです。
遮音性、断熱性が低い
金属が音を響かせやすいため、雨音が気になるという方もいらっしゃいます。
また、熱が伝わりやすいので、断熱処理をしっかりしなくてはなりません。
最近では、下地材と屋根材の間にすき間を空け、空気層を作ることで、これらのデメリットを解消する施工方法もあります。
金属屋根の劣化の目安
ガルバリウム鋼板などの表面に施されたメッキは、風雨や紫外線で劣化してしまいます。
この劣化を防ぐため、防水性のある塗料を塗装することで雨に耐えられるようにしています。
塗装は年数が経つごとに劣化していくため、ある程度の年数が経ったら塗り直さなければなりません。
また、屋根材に浮きや剥がれが発生した場合もメンテナンスが必要になります。
浮き、剥がれ
屋根材が老朽化してくると、屋根を固定している力が弱まってきます。
屋根材を固定する力が弱まると、その部分が浮いたり剥がれたりするため注意が必要です。
金属屋根では「ハゼ」といって、端と端の重なった部分を折り曲げる加工が施されています。
年数が経つとハゼの部分が緩み、屋根の浮きや剥がれが起きることがあります。
ビス止めの加工をされている場合も、つなぎ目が緩みやすくなります。
少しでも浮いてしまうと、風の影響を受けさらに浮き上がってしまうという悪循環に陥るおそれがあります。
最終的には、屋根材が剥がれてしまうことになるため、浮きや剥がれが見つかったら、早めに補修を検討しましょう。
色褪せ
色褪せは、塗装が劣化している合図です。
塗装は紫外線に当たると劣化し、色が褪せていきます。
家の周りから屋根を眺めてみるとなんとなくわかるかもしれません。
新築時の写真があれば、比べてみるとわかりやすいかもしれませんね。
屋根の塗装は10~20年もつと言われていますが、日当たりなどによっても左右されます。
色褪せが出てきたら、屋根塗装を検討するとよいでしょう。
キズ、サビ
金属は水に弱いため、屋根材として使用する場合には、表面を塗料でコーティングします。
しかし、風で飛んできたものがぶつかったり、屋根の上に設置されたアンテナが倒れてしまったりすれば、キズが付き塗装が剥がれてしまうことがあります。
塗装が剥がれてしまっている金属は、紫外線や水の刺激に対して無防備です。
耐久年数の長い金属屋根の力を最大限発揮するには、きちんと塗装されていることが大事です。
金属はサビには非常に弱く、放っておくと穴が開いてしまいます。
塗装以外にも、屋根材に使用するボルトやビスからサビが発生し、周辺の屋根材がもらいサビを起こしてしまう場合もあります。
金属屋根の中でも、ガルバリウムは比較的サビに強いと言われていますが、やはりきちんと塗装されていることが必須です。
万が一サビを発見したら、すぐに適切な修理をしましょう。
へこみ
アンテナなどの工事のために屋根に上った際に、へこみが生じてしまうこともあります。
へこみが生じると水がたまり、サビが起きやすくなります。
金属屋根に必要なメンテナンス
劣化の症状がみられた場合、どんなメンテナンスをすればよいのでしょうか?
費用の目安も合わせてみていきましょう。
塗装
塗装は経年劣化をするため、明らかな不具合がなくても定期的な塗り替えが必要となります。
金属屋根自体は30年程度の耐久年数がありますが、塗装自体は10年程度で塗り直しが必要になるでしょう。
金属屋根に大きなダメージが発生しないうちに、塗装で保護してください。
屋根は外壁以上に直射日光や雨の影響を受けるため、塗装の劣化も外壁よりさらに早くなります。
塗装の際には、高圧洗浄で汚れを落とし、下地処理と補修をした上で、塗料を三度塗りするのが基本です。
しっかりした下地処理を行った後に塗装を行えば、新品に近い状態に戻すことができます。
<費用の目安>
2,000~4,000円/㎡
部分的な修理
部分的に修理としては、シーリングによる穴埋めや、防水テープによる応急処置が考えられます。
ただし、サビは時間が経つと広まっていくので、サビを完全に取り除くことが必要です。
また、屋根の一部分を張り替えたり、重ね張りしたりすることも可能です。
<費用の目安>
部分張り替え・・・10,000円/㎡
カバー工法
サビや塗装の剥がれが激しくなってしまうと、塗装だけでは補修しきれません。
屋根材そのものが劣化しているのなら、屋根材を新しくする必要があります。
カバー工法とは、既存の屋根を残したまま、新しい屋根材を上に重ねる工法です。
重ね葺きとも呼ばれ、下地に不具合がない場合にのみ実施することができます。
屋根の撤去作業を削減し、廃材処理が不要となるため低コストになります。
半面、屋根の重量が増し、建物への負荷が大きくなるため注意が必要です。
元が金属屋根の場合は、軽量の金属屋根でカバーするのが基本です。
屋根が二重になることにより、断熱性が増す、遮音性が高まるというメリットもあります。
<費用の目安>
5,000~11,000円/㎡
葺き替え
葺き替えとは、屋根全体を交換することです。
屋根を一新するため、次のメンテナンスまでの期間を長くすることができます。
下地の野地板の修理が必要な場合は、カバー工法を採用できず、葺き替えでしか対応できない場合があります。
もし雨漏りをしてしまっている場合、表面の屋根材だけでなく、その下の防水シートや野地板まで損傷していることが多いです。
そうなると葺き替えしか選択肢がありません。
大規模な工事のため、工期が長く費用もかかります。
できるだけ葺き替えは避けられるように、定期的なメンテナンスをしておくとベストですね。
構造上、屋根の重さを計算して建物が設計されているため、基本的には既存の屋根より重い屋根に葺き替えることはできません。
元が金属屋根の場合は、金属屋根への葺き替えとなります。
<費用の目安>
10,000~16,000円/㎡
それぞれの特徴を知って、どのメンテナンスが最適なのかを判断しましょう。
※屋根修理には別途足場代がかかります
金属屋根の施工業者
数年前までは、金属屋根は施工が難しく技術を要すると言われていましたが、施工が楽な商品が年々増えています。
しかし、金属屋根はキズやへこみに弱いため、丁寧に扱わなくてはなりません。
商品によっては正しく施工できるように、メーカーの講習を受け、認定された業者でないと施工できないものもあります。
屋根の専門業者の中にも、得意な分野がそれぞれあります。
スレート屋根は施工が比較的簡単なので、屋根業者であればたいていは扱うことができます。
しかし、金属屋根の場合は、金属屋根の特色を熟知している業者が最適です。
外壁工事と屋根工事を同時に頼むと足場代が一度で済むので、セットで頼む方が多いです。
しかし、外壁工事を行う塗装業者の多くでは、金属屋根を扱う板金工事の部分は外注となることを知っておいた方がいいでしょう。
金属屋根のメンテナンスは桜建装にお任せください
金属屋根は30年程度の耐久年数がありますが、塗装によって守られていないと、サビが発生してしまうこともあります。
サビは金属にとって大敵です。
明らかな不具合がなくても、大きな問題が発生する前に塗装を塗り替えて、屋根の状態を維持していきましょう。
メンテナンスフリーという言葉も聞かれますが、定期的なチェックは必要になります。
屋根には簡単に登ることができないため、信頼できる専門業者に頼めるとよいですね。
金属屋根の特徴を知っておき、適切なタイミングで必要なメンテンナンスをできれば、屋根を長持ちさせることができます。
もし、金属屋根の劣化や破損が心配なら、私たち桜建装にお任せください。
屋根専門業者の私たちなら、屋根材に応じた適切な修理やメンテナンス方法をご提案できます。
お客様と長くお付き合いすることを前提に、丁寧かつ誠実な対応を心がけておりますので、相談だけでもご連絡くださいね。