近年、伝統的な日本瓦の家を見かける機会はどんどん減ってきています。
特に、都市部に近い住宅地では、昔ながらの日本瓦でできた住宅を見る機会はほとんどなくなりました。
日本瓦に変わり、日本の屋根の主流となっている屋根材がスレートです。
スレートは、安価な上に施工も簡単なため、安い住宅を実現するために爆発的に広まったのです。
ここでは、そんなスレート屋根の修理方法について詳しく見ていこうと思います。
目次
スレート屋根の種類
屋根に使われるスレートは、大きく分けると化粧スレートと天然スレートの2種類に分けられます。
一般的に使われるのは化粧スレートですので、天然スレートに関しては「そういうものもあるのか」程度に捉えていただければ大丈夫でしょう。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
化粧スレート
化粧スレートは、セメントと繊維材料を混ぜて作る人工の屋根材です。
非常に軽量なため取り付け作業がしやすく、施工できる業者が多いことが特徴となります。
また、軽量なことから建物の耐震性が高くなり、地震の多い日本には適した屋根材ということができるでしょう。
一方で、防水性が低いため、雨水による劣化に不安がある建材となっています。
また、薄い板状の建材のため、比較的割れ安いことも弱点です。
本来は長持ちする建材ですので、定期的にメンテナンスを実施して、長持ちさせるようにこころがけてください。
化粧スレートは、コロニアルやカラーベストとも呼ばれますが、これらはいずれも商品名です。
建材の分類としては全て化粧スレートとなるので、同じものと覚えておいてください。
天然スレート
天然スレートは、その名の通り天然の粘板岩を加工した屋根材です。
天然石独特の高級感がありますが、重量がある上割れやすいので、屋根材の性能としてはいまひとつといえます。
また、天然素材が原料となるため、値段が非常に高価なことも弱点と言えるでしょう。
天然スレートは日本ではほとんど生産されておらず、大半が海外から輸入した建材です。
見た目がいいという以外の点は化粧スレートに劣るため、日本ではほとんど使われていません。
スレート屋根の劣化を見極めるポイント
スレート屋根を長持ちさせるためには、劣化の兆候を見極め早めにメンテナンスを実施する必要があります。
本来はそれなりに耐久力のある素材ですが、メンテナンスをおこたるとすぐにダメになってしまう可能性もあるのです。
スレート屋根が劣化してくると、以下のような兆候が現れ始めます。
ぜひ定期的にチェックを行い、不具合が出ないようメンテナンスを実施するようにしてください
スレートの色あせ、コケやカビの繁殖
スレートはセメントと繊維で作られているため、防水性能は持ち合わせていません。
そのままではスレートに雨水が染み込んでしまい、劣化を早めてしまうことになります。
そこで、表面を塗装することで防水性能を高めているのです。
しかし、塗装も紫外線や雨水の影響で劣化していくので、いつまでもスレートを保護できるわけではありません。
塗装の劣化に伴い塗り替えを実施し、スレート本体を守る必要があるのです。
塗装の劣化の症状として、分かりやすいのが色あせです。
また、色があせてくる頃には、劣化の兆候であるチョーキングも発生してきます。
とは言え、屋根材を触って確認することは現実的ではないので、色あせを一つの目安にすればいいかと思います。
また、塗装が劣化してくると、コケやカビが生えやすくなります。
もし、屋根にコケやカビが目立つようなら、塗装が劣化している証拠となるので、塗り替えを検討するようにしてください。
スレートの破損
スレートは軽いセメントのため、衝撃にはあまり強くありません。
風で飛ばされた飛来物が屋根に衝突するなどすれば、スレートが割れてしまうことも考えられます。
また、塗装が劣化したことでスレートが水を含み、急激な乾燥を繰り返すことでひび割れが生じることもあります。
スレートが破損してしまえば、隙間から雨水が浸入してしまうので、雨漏りに発展するおそれもあります。
もし、台風後などに急に雨漏りするようになったのなら、スレートの破損も疑うようにしてください。
スレートは1枚からでも交換できるので、被害が広まらないうちに早めに修理してしまうようにしてください。
雨水により下地が腐食してしまえば、葺き替えのような大掛かりな修理に発展するおそれもあります。
棟板金の傷み
スレート屋根で最も不具合が多いのは、実は頂上にある棟板金の部分です。
棟板金には、屋根面の接合部分を保護する役割があります。
しかし、屋根面の接合部分は屋根の弱点でもあるため、棟板金が少し傷んだだけでも不具合に発展する危険性が高いのです。
棟板金は金属で作られているので、サビを防ぐために塗装が施されています。
この塗装も、スレートに施されているものと同じく劣化するので、長期間放置してしまうとサビが発生してしまうことになるでしょう。
サビを放置すると板金に穴が開くおそれもあるので、早めに塗装を塗り替えて劣化を防止する必要があります。
また、棟板金は釘で止められていますが、風や雨の影響で浮いてくることもあります。
板金が浮いてしまうと、隙間が生じて雨水が内部に浸入してしまうため、雨漏りのリスクが高まってしまうでしょう。
また、強風により板金が飛ばされてしまうおそれもあるので、なるべく早めに対処するようにしてください。
スレート屋根の修理方法
スレート屋根が劣化してきたら、修理を実施しなければなりません。
修理の方法にも色々あるので、状況に合わせて最適な物を選択するようにしてください。
スレート屋根の修理方法は、以下の通りです。
塗装の塗り替え
化粧スレートの表面には、防水性能を高めるため塗装が施されています。
この塗装が劣化してきた場合は、塗り替えによるメンテナンスが必要になるでしょう。
一般的に使われるシリコン塗料の場合、大体10年程度で塗装は劣化してしまいます。
そのため、10年に1度は屋根の塗装が必要と考えておくといいでしょう。
外壁の塗装も10年に1度を目安に必要なため、同時に実施することで費用を抑えることも可能です。
スレート屋根の塗り替えでは、「縁切り」という作業が不可欠です。
これは、スレートの隙間が塗膜でふさがることを防ぐ作業で、実施しないと屋根裏に浸入した雨水が排出できなくなり、雨漏りに発展する可能性が高くなります。
昔はカッターなどで塗膜を切って隙間を作っていましたが、最近ではタスペーサーという器具をはめ込むだけで作業が完了してしまいます。
それから、スレート屋根の塗り替えには、スレートの劣化を修復するような効果はありません。
あくまで、塗装はスレートを保護するものなので、屋根全体の防水性能を高めることはできないのです。
もし、雨漏りが発生しているような状況なら、塗装の塗り替えでは解決しない可能性が高いです。
このようなケースでは、他の修理方法を選択する必要があります。
部分修理
スレートの一部が破損して不具合が起きているようなケースでは、部分的な修理が必要です。
スレートは1枚からでも交換できるので、破損した場合は早めに修理することをオススメします。
また、屋根板金が劣化している場合も、取り換えることで解決します。
これらの工事は費用もそこまで大きくなりませんので、雨漏りのような大きな問題に発展する前に手を打つようにしてください。
葺き替え
屋根全体が傷んでしまっている場合は、屋根の葺き替えをしなければなりません。
葺き替えは、古い屋根を撤去して新しい屋根を取り付けることです。
大掛かりな工事になるため、当然費用もかかるメンテナンスとなります。
いくら塗装で保護したとしても、スレートは徐々に劣化してきます。
スレートは40年程度が寿命とされているので、築40年を越える頃には葺き替えを検討しなければならなくなるでしょう。
もし、下地に劣化が見られないようなら、カバー工法という選択肢もあります。
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根を取り付ける修理方法です。
屋根の状態に合わせて、最適な方法を選ぶようにしてください。
化粧スレートにはアスベストが含まれている可能性がある
昔の化粧スレートには、アスベストが含まれていました。
アスベストは、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など有用な特徴を持っているため、建材として広く使われてきたのです。
ところが、アスベストが人体に悪影響を及ぼすことはご存じの通りです。
そのため、現在の化粧スレートにはアスベストが含まれているということはありません。
しかし、住宅などの建物は、昔に建てられたものが多く残っています。
その中には、今でもアスベストが含まれた化粧スレートの屋根が使われている建物も少なくないのです。
具体的に言うと、アスベストが規制される2004年までに製造された化粧スレートには、高確率でアスベストが含まれています。
もしお宅が2003年以前に建てられたスレート屋根の家なら、化粧スレートにアスベストが含まれている可能性が高いと言えるでしょう。
家の化粧スレートにアスベストが含まれているとどうなる?
アスベストが含まれた化粧スレートが屋根に使われていたとしても、すぐに健康被害につながることはありません。
化粧スレートが板の形状を保っている限り、アスベストが飛散することはほとんどないのです。
住み続けることでガンになるようなことはありませんので、その点は安心してください。
化粧スレートに含まれるアスベストは、葺き替えなどにより撤去する場合に問題となります。
屋根材の撤去時にはスレートを切断したり穴を開けたりするため、アスベストが飛散してしまうのです。
そのため、周囲への飛散を防ぐ専用の防護策が必要となり、葺き替えにかかる費用が高額になってしまいます。
また、アスベストの処分費用もかなり高額なため、総合的に屋根の葺き替え費用がかなり高くなってしまうのです。
アスベストを飛散させることなく屋根を新しくするためには、カバー工法という選択肢も存在します。
カバー工法なら、スレートを撤去することなく上から新しい屋根を被せるため、アスベストの飛散を防ぐことができるというわけです。
しかし、2度続けてカバー工法で屋根を取り付けることはできないため、いずれはアスベストの含まれたスレートを撤去しなければならない日はきてしまいます。
アスベストの撤去費用や処理費用は年々上昇しているため、問題を先送りにすることで余分な費用がかかることにもなりかねません。
カバー工法は、問題を先送りにしているだけともいえるので、良く考えて選択する必要があるといえるでしょう。
スレート屋根の修理のことなら桜建装にご相談ください
スレートは安価で広く普及している屋根材ですが、長期間建物を風雨から守ってくれます。
ただし、力を最大限発揮するには適切なメンテナンスが不可欠です。
できるだけ屋根と建物を長持ちさせるためにも、定期的に優良業者に劣化状況を診断してもらうといいでしょう。
スレート屋根の劣化が気になり始めたら、私たち桜建装に相談してみてください。
私たちは、広告審査のある産経新聞に広告が掲載された実績もあり、嘘偽りなく現在の屋根の状況をお伝えいたします。
修理が必要な場合に関しましても、必要な工事を押し付けるわけではなく、ご希望に応じて数パターンのご提案をさせていただきますので、遠慮せずに希望を伝えていただければと思います。