普通に生活していると、屋根に注目する事はほとんどありません。
住宅が古くなってきたり、何か不具合がでてきたりすることで、屋根について考えるきっかけとなることがほとんどでしょう。
一般的には、住宅の保証がなくなる10年を目処にして、屋根のメンテナンスを行うことが多いようです。
また、地震や台風などの自然災害による被害を受け、屋根の修理をする必要が出てくる場合もあります。
どちらにしても、修理が必要になってくると、部分的な修理で済むのか屋根全体のリフォームとなるのかで様々なことが大きく変わってきます。
ここでは、部分補修とリフォームについてまとめていきましょう。
目次
部分補修とリフォームの違い
部分補修とリフォームでは、費用を含めて大きな違いがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、建物の状態に合わせて最適な手段を選択することが不可欠でしょう。
では、それぞれのメリット・デメリットについて紹介していきます。
雨漏り箇所を特定する「雨漏り調査」の種類
「もしかすると雨漏り?」と感じたら、まずは原因を特定する必要があります。
原因が分からなければ、どこを修理すればいいかわかりませんからね。
雨漏りの原因を特定するには、雨漏り調査を行ってもらいましょう。
調査には、主に5つの方法があります。
部分補修
部分補修は、破損した部分だけを修理するため、応急処置ともとらえられます。
近い将来、建物を解体したり引っ越したりする予定がある方や、破損箇所がその部分だけという場合に向いている修理方法です。
【メリット】
・リフォームに比べれば費用をかなり抑えることができます。
・シーリング補修や屋根材・樋などの一部交換など、簡単な修理で直せるので工期も短く済むでしょう。
【デメリット】
・破損箇所のみ修理することで、他の部分に負担をかけてしまう場合があります。
・破損が広がると次の修理が必要になってくるため、また費用がかかってしまうおそれもあります。
費用相場…2~10万円
リフォーム
屋根全体を作り直す大がかりな工事となり、工期も長くなります。
費用もかなり高額です。
経年劣化による屋根の修理や、引っ越す予定がなく長く住み続けるならリフォームが向いているでしょう。
リフォームには、「屋根の葺替え」もしくは「カバー工法」といった方法がとられます。
・リフォームすることで、古い屋根材は全て撤去され、下地やルーフィングも全て新しくなります。
・屋根材を新しくするときに、人気の屋根材に変更することも可能です。
・施行保証、メーカー保証がついてくるので、リフォーム後に工事による不具合があれば無償で直してもらえます。
【デメリット】
・費用が高めです。
費用相場…屋根葺替え工事70~200万円
カバー工法(古い屋根の上に新しい屋根をおく方法)50~120万円
業者の中には、小さな破損でも部分補修ではなくリフォームをすすめてきたり、余計な修理を追加してみたりする悪質なところもあります。
そのため、屋根の修理を考えたら複数の業者から見積りをとるようにしてください。
複数の業者に見てもらうことで、悪質業者を見抜くことにもつながります。
破損箇所、工事内容、工事費用をきちんと確認して見比べるのは、とても大切なことです。
後々になって後悔することのないように、十分に納得のいくまで相談と説明を受けるようにしてください。
屋根修理の時に気をつける3つのポイント
屋根の修理を依頼する際は、以下の3つのポイントを確認してください。
- ①今の屋根にはどのような屋根材が使われているか?
- ②使われている屋根材に適した工法か?
- ③人気のある屋根材に変える利点はないか?
住宅に使用される材料も、日々進化し続け新しいものが誕生しています。
数年前に人気があった屋根材よりも、性能も増したものが新たに作られているのです。
今までと同じものと決めつけることなく、新しい屋根材も柔軟に取り入れてみるのも一つの手だと思いますよ。
次の項目では人気の屋根材をご紹介します。
最近人気の屋根材を紹介します
新しく屋根をリフォームすることになったなら、最新の屋根材に変えてしまうことが得策かもしれません。
最新の屋根材は高機能なので、住宅を強固に守ってくれるでしょう。
では、近年使われることの多い屋根材をいくつか紹介していきましょう。
成形ガルバリウム鋼板(金属屋根)
近年、屋根のリフォームで最もよく使われている屋根材です。
アルミと亜鉛の合金でメッキ処理がされた、金属屋根の一種となります。
あらかじめ屋根の形状に加工されていて、施行しやすくデザインも豊富なこともメリットとなります。
デメリットを挙げるなら、傷ができるとそこからサビが生じて雨漏りの原因になる可能性があります。
衝撃にも弱い面があるため、定期的なメンテナンスは必要です。
また、金属のため、熱を伝えやすいので屋根裏には断熱処理が欠かせません。
葺き替えに必要な費用は、1㎡あたり8000~10000円ほどです。
金属のため雨音が響くこともありますが、最近ではこのような欠点を補う新しい屋根材もできています。
「石粒付きガルバリウム鋼板」といい、表面に石粒がつけられ、雨が降っても石に当たり雨音が響きにくくなっています。
耐用年数:30~50年
スレート材
スレート材には、「天然スレート」と「化粧スレート」があります。
天然スレートは粘版岩を材料につくられ、化粧スレートは天然繊維と人工繊維、セメントを材料に作られています。
天然スレートは高価な上割れやすいので、スレートといえば化粧スレートを指すことがほとんどです。
化粧スレートは、「コロニアル」や「カラーベスト」とも呼ばれますが、これは商品名を指します。
非常に軽量、施行しやすい、流通量も多いという特徴を持ち、新築の屋根材としては最も多く使われています。
1㎡あたり6000円ほどで安価ですが、部分補修となると高くなります。
また、10年ほどで色褪せや塗装の剥げが目立ち始めるので、塗装によるメンテナンスが必要です。
塗装には、少しグレードの高い塗料を使用すると長持ちします。
塗料のグレードは、アクリル塗料(耐久年数5~8年)、ウレタン塗料(7~10年)、シリコン塗料(12~15年)、フッ素塗料(15~20年)が代表的で、グレードが高いほど高価になります。
スレート材には、シリコン塗料が多く使われています。
また、単価は高いですが、劣化の激しい屋根にフッ素塗料が使われる機会も増えてきました。
フッ素塗料は、スカイツリーにも使用されるほど高い耐久性を誇ります。
屋根は、紫外線や雨風を直に受けるため、塗装も強いものを選択するようにしてください。
次世代塗料としては、「光触媒塗料」といったものもあります。
太陽光で汚れを浮かして、雨で洗い流してくれるという優れもので、お手入れが楽になります。
耐用年数:30年
軽量瓦
陶器瓦は丈夫で長持ちしますが、重いという弱点があります。
軽量瓦は、陶器瓦の弱点をふまえ改良されたもので、通常の瓦に比べ軽いことが特徴です。
瓦を使った最近の新築には、F型軽量瓦が採用されています。
F型瓦とは、平らな形状をした瓦のことです。
近年は太陽光パネルを取り付ける家庭も増えているため、平たい瓦が人気になっています。
軽量瓦に葺き替える価格は、1㎡あたり12000円ほどです。
耐用年数:30年
セメント瓦
セメント瓦は、セメントと砂を混ぜて作った原料を、プレス・脱水したあと成形し表面を着色して作られています。
2種類あり、使われたセメントと砂の量に多少違いがあるのです。
1つ目は「厚型スレート瓦」と呼ばれ、セメントと砂が3:1での配分で作られています。
2つ目は「セメント瓦」、または「モニエル瓦」とも呼ばれ、割合はセメントと砂が2:1です。
セメントの量が多い方が硬い瓦となります。
セメント瓦は昔ながらの日本瓦に比べると、型にはめて作られることから仕上がりが均一です。
また、大量生産できるため、価格も安く抑えることができます。
しかし、セメントなのでガルバリウムやスレートと比べると重く、年数が経つと劣化によるヒビや割れが生じます。
また雨によってセメントに含まれるカルシウムが流れ出すと、混ぜている砂が姿を表してしまうのです。
耐用年数は30年といわれますが、定期的なメンテナンスが必要となります。
注目したい「厚型スレート瓦」に分類される「ルーガ」。
ルーガは、セメント瓦の欠点を見事に改良した屋根材です。
軽量かつどんな天候にも強く、見た目もスマートで人気があります。
見た目は日本瓦とほとんど変わらず、和の景観を大切にする京都でも使用する家屋が増えてきています。
また、和風、洋風どちらのデザインも揃っており、どのような住宅でも採用することができるでしょう。
ルーガはとても硬くて割れにくい、軽いのに飛ばされない、色褪せしにくいというメリットがあります。
しかし、高機能な分費用は高めです。
また、取り扱い業者も少ないので、工事に時間がかかることもデメリットといえます。
屋根の形による違いとは?
住宅の屋根にも様々な形状があります。
ここからは、その中でもよく見かける屋根の形をご紹介しましょう。
屋根の形状によっては、適さない屋根材もあるのでリフォームの参考にしてみてください。
入母屋屋根(いりもややね)
和風の瓦屋根、日本のお城のような屋根といえばすぐに思い出される形です。
基本的には陶器瓦により、屋根が葺かれています。
形が複雑な分、工事を行うときには費用が高額になります。
屋根裏の断熱性や通気性には、優れた形状といえます。
切妻屋根
シンプルな造りの三角屋根です。
基本的に、どのような屋根材も使うことができます。
シンプルな構造のため、雨漏りにも強い屋根といえます。
また、屋根のメンテナンスが簡単に行え、工事費も安く済むこともメリットと言えます。
ただし、屋根のない外壁部分は、直接雨や風を受けるため外壁の劣化には注意が必要です。
寄棟屋根(よせむねやね)
4枚の屋根で構成されています。
こちらも、屋根材を選ばずリフォーム可能です。
切妻屋根とは違い、4面ともに屋根があるため、台風や風に強い屋根です。
しかし、欠点は屋根の接合面の合わさった場所で雨漏りがおこる可能性があります。
そのため、定期的なメンテナンスは必要となってきます。
方形屋根(ほうぎょうやね)
ピラミッドのような形の屋根です。
一点から4方向へ三角の屋根面がついています。
寄棟屋根の一種で、こちらも屋根材を選びません。
屋根の傾斜はどれも同じで、風に強いのが特徴です。
この屋根形状を採用すると、下にある家屋はほぼ正方形になります。
また、太陽光パネルを取り付けには不向きな形でもあります。
片流れ屋根(かたながれやね)
一枚の屋根を、斜めに取り付けた形の屋根です。
モダンな外見から、最近増えてきている屋根形状といえます。
また、土地が狭い場所に住宅を建てるとき、よく片流れ屋根が採用されます。
屋根に振る雨が片側に流れ落ちるので、雨樋に枯れ葉やゴミが溜まってしまうと大変です。
雨漏りの原因ともなるため、雨樋の清掃やメンテナンスを忘れずに行う必要があります。
また外壁の片側が屋根に守られていないため、ヒビや破損に気をつけましょう。袴腰屋根(はかまこしやね)
屋根の形が袴のような形をしています。
「ドイツ屋根」・「隅切屋根(すみきりやね)」・「半切妻屋根(はんぎりつまやね)」とも呼ばれることがあります。
棟の形が複雑で、雨漏りする可能性が高い屋根形状です。差し掛け屋根
切妻屋根の片側だけをずらした形をしています。
ずらした屋根を短くした形の屋根は、「招き屋根」とよんでいます
どちらも強風や雨漏りに強い屋根形状です。越し屋根(こしやね)
屋根の上に、小さな窓付きの屋根がついている形をしています。
取り付けられた窓には、通風と熱逃がしの役割があります。
しかし、形としてはとても複雑で雨漏りには注意しなければなりません。雨漏りの原因
雨漏りのない屋根を目指すには、雨漏りの原因を知っておく必要もあります。
雨漏りの原因としては、以下のようなことが考えられるでしょう。
- ・継ぎ目部分の劣化
- ・屋根の勾配や向き
- ・経年による屋根の劣化
- ・自然災害による被害
雨漏りを未然に防ぐためには、屋根や外壁を普段からよく観察しておくのも重要なことです。
劣化の早い段階で修理すれば、部分補修で済ませることができ費用も抑えることができます。
もしも疑わしい箇所があるなら、早めに調査することをオススメします。
参照:雨漏りの原因
屋根の修理のことなら桜建装にご相談ください
屋根の修理の方法は、大きく分けて2種類あります。
「部分補修」で済ませるか、「リフォーム」をしてしまうのかという2パターンですね。
この2つには、費用に大きな違いがあります。
大切な家を維持していくには、最適な方法でメンテナンスを実施しなければなりません。
その場しのぎの補修ではなく、先を見越してリフォームなども検討すべきケースも少なくないのです。
もし、雨漏りなど屋根の事でお困りなら、私たち桜建装に相談してください。
私たちは大規模な屋根のリフォームから屋根瓦一枚の交換まで、屋根のトラブルは何でも解決いたします。
あなたのお宅の状態を見極め、修理のプランをいくつかご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。